実家が魚の卸をやっていた関係で、小さい頃から獲れたての魚を目にしたり食べたりする機会は多かったです。釣りが好きだったこともあって、徐々に水産系の仕事に就きたいと思うようになりました。大学の水産学部では、図鑑の元となる分類学を専攻。脊椎やひげの数などから分類を決めていくわけですが、この時点で魚の種類はかなり覚えました。その知識は入社後も活かされていると思います。
当社に決めた理由は「失敗してもいいから、まず何でもやってみろ!」という大らかな会社の気質。入社試験では、面接後に自分から「社員と話がしてみたい」と希望しました。その時話ができた、先輩たちの明るくて豪快な人柄にも惹かれましたね。
販売担当として、関東エリア、北海道エリア、東京の重要得意先専門チームと経験を積み、入社10年目の現在は、東北~静岡エリアの「えび加工品」担当、そして北海道エリアの「えび全般」担当として、かなり幅広く活動しています。
一口にえびの加工品といっても、ボイル品から冷凍品まで、加工度合いを含めて様々ですが、私の主な担当は「割鮮えび」シリーズ。「割鮮=新鮮なものをサクッと割って供する」という言葉どおり、生きたままのえびを工場に搬入して加工するため、鮮度のいい状態のまま、鮮やかな赤色や食感、旨みが楽しめるというもの。中でもソフトシェルは、ニチレイフレッシュがシェアの90%を占める売れ筋商品。全体の漁獲高の1割しか獲れない、脱皮したてのえびを使用するため、頭から丸ごと食べられる柔らかさが人気です。
担当販売先は主に寿司店や問屋、量販店など。全部で50社ほど担当する中で、10~20社の重要得意先を中心に電話や訪問でのアプローチを行います。北海道エリアについては、原料を含めた、えび全般を担当しているので、月1回は現地に飛んでいます。もともと大学が北海道にあったため土地勘もありますし、以前北海道エリアの水産品を担当していたこともあって、今も仲良くさせていただいているお客様が多いですね。
この仕事の醍醐味を感じるのは、価格ではなく、商品の価値で選んでもらえた時。
ニチレイフレッシュの商品は、鮮度や旨みなどへのこだわりが強い分、他社よりも加工コストがかかっているケースが多い。価格競争では厳しい面もあります。
「割鮮えび」シリーズの中でも、寿司ネタとして使われるえびを、寿司店を中心に販売することが多いのですが、最初のうちは「寿司えびなんてどこも同じ。要は価格だ!」と門前払いを食うことも少なくありません。
ではどうアプローチするか。まずは当社の寿司えびを試食いただいて、その魅力を実感してもらうことが先決です。そのため、事前に営業を仕掛ける寿司店でえびを食べてみて、味や鮮度から仕入先を推測。その寿司えびを使用し続ける場合のメリットやデメリットを割り出し、その結果を元に「割鮮えび」シリーズの提案を行います。
時には「築地で人気の寿司店でも使っていただいています」といった情報を提供しながら、試食いただけるまでアプローチを続けます。一度試食していただいくと、ニチレイフレッシュの寿司えびの付加価値を認めてくださるお客様が多いですね。「多少高くても仕入れてみたい」とお話をいただいた時は、商品に自信がある分、本当に嬉しいです。
もう少しで欠品!という事態に陥ったことがあります。
以前、東京の重要得意先専門チームで大手量販店を担当していた時、シーズンに合った商品の開発・販売を行っていました。11~12月にかけて、数の子を企画・販売したのですが、数の子といえばまさにお正月限定商品。1月も後半になれば売れなくなりますから、余剰分を作らないように生産量を決めました。
ところが蓋を開けてみると、見込みの倍近くの売れ行き。嬉しい悲鳴などと言っている場合ではなく、欠品にならないように緊急の追加生産を余儀なくされました。
加工工場のオーナーにもスタッフの方にも、無理を言ってクリスマス返上で間に合わせていただきました。この時ほど「自分一人ではどうにもならない」と痛感したことはありませんでしたね。助けていただいた方々には今も感謝しています。
私が2年前から担当している、寿司えびの国内シェアを伸ばすこと。
ニチレイフレッシュの場合、寿司えびについてはまだ新参者なんです。現在国内シェア約10%、ランキングではトップ10位以内。これを3年かけてシェア20%、ランキング5位以内までには入るようにしたいですね。例えば畜産事業部やニチレイフーズとの連携により新規販売先を獲得するなど、まだまだ拡大できる余地はあると思っています。
将来的には、海外での販売や調達の仕事への展開なども考えてはいきたいですが、まずは国内での販売が先!自分が納得できるまで追及していきたいと思っています。