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こだわり素材開発物語

第4話 モーリタニア産「壺たこ」PJ 吉原 隆之

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天然資源の枯渇をストップ!漁場を荒らさない「壺漁」で良質なたこを救え

モーリタニアの真だこが世界各国から注目を浴びるようになったのは、1960年代。特に、当時からたこを食す文化の根強かった日本では、トロール漁の網の中で、鯛やイカなどに紛れてかかっていた良質な真だこに目を止め、早々に日本船での創業を開始しました。

しかし、当初行われていたトロール漁は、150~350tクラスの船が、深いところでは水深40mにもなる海底に網を這わせながら、魚介類を根こそぎ漁獲するという底引き漁。まだ育ち切っていない子供のたこまで乱獲していたために、たこの漁獲量は激減しました。

 

天然資源の保護が叫ばれる中で、1985年から本格的に行われるようになったのが「壺漁(つぼりょう)」です。「壺漁」とは、狭い岩の隙間に潜り込むたこの習性を利用して、1つの壷で1匹ずつ漁獲するという日本古来の漁法。たこの餌が豊富な浅瀬が漁場でもあるため、足が太く身の引き締まった“たこ質”の良い真だこが漁獲されます。また、1回に使う壺の量を制限することで乱獲を防止することも可能です。トロール漁のように漁場を荒らさず、小さなタコを獲ることもない「壺漁」は、まさに天然資源の保護に配慮した、環境に優しい漁法なのです。

1990年代初頭には、モーリタニアに20カ所以上の「壺たこ」生産工場が生まれました。ニチレイフレッシュも、1991年には現地にいち早く工場を整備。「壺たこ」シェアNO.1のPCA社とタッグを組んで「壺漁」をモーリタニアの産業として確立させてきました。

塩揉みでくるりと丸まる!
“たこ質”の高いモーリタニアの真だこ

当社は、モーリタニア産の真だこに辿り着くまでに、世界各国で調査やデータ解析を繰り返してきました。モロッコやメキシコ、ブラジル、ペルー、チリなど、様々なたこの漁場を訪れ「味」「色」「食感」「風味」、さらには「栄養素」をチェック。その中で“たこ質”抜群と評価されたのが、モーリタニア産の「壺たこ」です。

世界には「真だこ」「水たこ」「いいだこ」「やなぎだこ」など、約250種類のたこが生息していますが、なかでも一級品と言われるたこは、塩揉みした時点でくるりと丸くなる特長を持っています。モーリタニア産の「壷たこ」は一級品の割合が多い良質な真だこです。滋養強壮や肝機能向上にも役立つ「タウリン」の含有量が、モロッコ産のたこや“たこ質”が高いとされる日本の明石産のものより高いのも特長。水分量が少なく、ぷりっぷりの弾力が楽しめる逸品です。

モーリタニア産「壺たこ」が元気な理由は豊かな漁場にあります。サハラ砂漠から吹く貿易風が引き起こす海底の「湧昇流(ゆうしょうりゅう)」が、光の届かない深層に埋まっているミネラル分を浅瀬まで押し上げることで、プランクトンが大量発生。たこの餌となる貝類や甲殻類を豊富に育てます。また、漁獲地が港から近く、鮮度を保ったまま工場に運ばれるのも理由の1つ。たこを水揚げしてから凍結させるまでの処理時間を、いかに短くするかが“たこ質”を高める重要なポイントです。

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