仕事を知りたい
HOME > 仕事を知りたい > 水産品グループ 足達 史郎

企画営業系の先輩社員

アラスカ、カナダ、ロシア、デンマーク、チリ。魚卵を求めて世界を渡り歩き、買い付ける。

水産事業本部 水産品グループ 魚卵調達担当 1990年入社 水産学部 水産学科 足達 史郎

現在の仕事内容と特長を教えてください

いくらや数の子を求めて世界を渡り歩く

日本の食文化に欠かせない数の子やいくら、すじこ、タラコなどのいわゆる魚卵はニチレイフレッシュの最も得意とする、業界でもトップシェアの商品です。これらの原料となる鮭やスケソウダラ、ニシンを海外から調達するのが私の仕事です。調達した魚は国内外の水産加工工場へ運ばれ、魚卵だけに取り出され、塩漬けや味付け加工されます。

天然の魚はご存知のように海の中を泳ぐ生物なので、産地が時期によって次々と変化します。
最近の環境による温度変化も影響し、毎年毎年が大変です。最近は、過去の経験だけでは判断しにくくなってきており、綿密な情報収集と自分のセンスだけが頼りです。
例えば、通年ですと、いくらの原料となる鮭は産卵のために5月頃からアラスカ、ロシアの河口へやってきます。その後6~8月にかけて、カナダ、デンマーク、日本、ヨーロッパなどと産地が次々と変化します。11月以降は、南半球のチリへ・・・と行ったように、政界中に漁場があるわけです。

このように、私の仕事は、絶えず海外との商談や出張がある仕事です。まさに鮭と一緒に世界を回遊するような気分ですね(笑)。且つ、魚は一年に一回しか産卵しませんので、魚卵調達の仕事は一発勝負です。買付け時の市況や環境、相手国の事情、為替相場などを考慮し、値段を交渉して買付けます。

一度の商談で数千トン、数億円の商談になります。毎回毎回が勝負です。為替の変動で、買った後に相場がどんどん下がる事もありますが、びくびくしていてはできない仕事です。損しても「来年取り返すぞ!」という気持ちでやっています。

さらに、自然が相手なので採れる量や大きさが一定ではありません。毎年どれくらい調達できそうかは、長年の経験と自分の勘だけが頼りになります。
最近ではアラスカ港の風の匂いを嗅いで「今年は大漁だな…」と思ったこともあります。その年は本当に大漁でした。不思議なことに、経験を重ねるに連れて、予測が的中する確率が上がってきているんです(笑)

もしお客様が希望する数や大きさの物が採れなかったとしても当社には関係会社に水産加工品工場がありますので、柔軟な対応と提案力で、お客様の信頼を勝ち取ることができるのも、当社の強みだと思っています。

その仕事の自慢できる点は?

ノルウェーの王様から勲章授与!鮭8000トンの買付け!

これは私が魚卵の担当になる以前、1996年頃の話ですが、ノルウェーの養殖の鮭を大量に買い付けし、ニチレイはノルウェーの王様から勲章を授与したことがありました。世界で一番ノルウェーの鮭を輸入しているのが日本のニチレイ(当時はニチレイ水産部でした)だったからです。

その後その取引を私が拡大していき取引高を8000トンにまで増やした経験があります。これは社内的にも過去最高の数字でした。もちろん私の功績は評価されましたし、日本の食文化を変えたのではないかと自負しています(笑)。と、言いますのも、今ではお子さんから年配の方まで当たり前のように回転寿司さんなどでオーダーされている大人気の生食用サーモンですが、日本人が食べるようになったのは実はこの頃からなんです!!ご存知でしたか?

寿司屋さんや量販店さんで生食用の鮭(サーモン)が販売されるようになったのは、このノルウェー産サーモンが大きく関与しています。身の色が、天然物の赤色にくらべて薄い橙色なのが短所だったのですが、これを産地に伝えたところ、餌を変え、身が赤くなるように工夫して生産してくれました。現地の漁業関係者が1000名も集まる会議に呼ばれ、日本のマーケットについて講演してくれ!と頼まれて話したこともあります。あの頃は、自分が日本代表?のような感じで、実に多忙だった記憶があります(笑)

その仕事のやりがいは?

自分の調達した数の子が毎年、正月に日本中の食卓に並ぶ

日本のお正月に欠かせない数の子。これはニシンの卵です。いくらなどはロシアでも食べますが、数の子はほぼ100%、日本で消費されます。日本人独自の食文化代表なんです。昔はご贈答用が多かったのですが、今はご自宅で食べるほうが多くなっています。

もちろん、この数の子の調達も年に1回のチャンスです。2月に漁があり、買付けを行います。そのときにその年1年分の需要を見込んで一気に買います。それを3月~5月に中国で加工し冷凍し、6月~7月に日本へ輸入します。それが量販店を経由して年末~正月の皆様の食卓に並ぶわけです。

数の子は、日本の正月には欠かせない食材ですし、日本人にとって“ハレ”の食べ物ですから、お客様に対して「数が揃いませんでした」とか、「小さい物しか獲れませんでした」では許されません。かといって、大量に仕入れて、余らせたら当社の損失となります。調達量の予測が難しいところですが、腕の見せ所でもあります。

また、海外の業者との交渉も、こちらから「欲しい、欲しい」と出向けば値をつり上げられますが、かといって無関心を装うと、他社に流されてしいます。バランスを見ながら交渉するのが大切です。

こうした苦労の末、調達予測が的中し、完売でき、会社に大きな利益をもたらせた時には最高に嬉しいです!そしてなによりも、日本の食文化に貢献している点が、とてもやりがいのある仕事だと感じています。

仕事上の目標や夢を教えてください。

加工品を増やして、海外のニーズにも応える

今、中国では空前の『寿司ブーム』が起こっています。香港や台湾では以前からブームが起こっていましたが、中国のブームは2011年あたりからです。人口が多いせいか、一度ブームが起こると急激に需要が伸びます。そこで当社の魚卵の出番です!

すでに、数十トンのいくら加工品を、中国展開している寿司チェーンに販売しました。当社の寿司ネタは細かな加工が施されているのが自慢です。例えばいくらなら醤油やみりんにつけ込んでありますし、イカは一枚ごとに切り分けられています。しかも鮮度を保って急速冷凍していますから解凍しても、鮮度も落ちず味もおいしいわけです。当社はこうした加工品で今まさに、世界に勝負していこうとしています。

今までは、原料としての魚を調達し販売する商社のような仕事が多かったのですが、今後は海外において何らかの加工を施し輸入をするという流れにシフトしていきます。他社ができない商品を作り出すことがニチレイフレッシュの強みであり、使命だからです。

これを読んでいる学生へのメッセージをどうぞ。

夢とロマンにあふれる仕事です!

大自然を相手に、世界の果てまで魚(鮭・にしん)を追いかける、夢とロマンにあふれる仕事です。学生の皆さんも是非、私に続いてください!一緒に日本の食文化に貢献していきましょう!

普段のお仕事をのぞき見!


  • アラスカの氷河にて

  • 鮭の漁獲船

  • アラスカから鮭の遡上河を空撮

  • カナダバンクーバーにて

  • 自慢の数の子です!

  • カナダ(ガルフ湾)でのニシン漁の船

  • カナダ(ガルフ湾)でのニシン漁風景①

  • カナダ(ガルフ湾)でのニシン漁風景②

  • 捕獲されたばかりのニシン

  • ニシン水揚げ

  • 打合せ風景

  • 資料作成中

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